だまし絵は「作品」、錯視は「現象」
だまし絵は、見る人がわざと見間違えるように作られた絵の総称です。 隠れた動物を探す絵、見方を変えると別の物に見える絵、平面なのに本物がそこにあるように見える絵などが含まれます。
似た言葉との違いは次のとおりです。
| 言葉 | 指すもの | 例 |
|---|---|---|
| 錯視 | 見え方と実際がずれる現象そのもの。図が単純でも起きる | 同じ長さの線が違って見える |
| だまし絵 | 錯視や思い込みを使って、見る人をだますように作られた絵・作品 | 隠し絵、図地反転の絵、ありえない建物の絵 |
| トリックアート | だまし絵とほぼ同じ意味。日本では、写真を撮って楽しむ体験型の展示を指すことが多い | 床から飛び出して見える絵、壁の穴に見える絵 |
| トロンプ・ルイユ | フランス語で「目をだます」。本物と見間違えるほど写実的に描いた絵のこと | 壁に描いた窓、額からはみ出して見える人物 |
つまり、錯視は材料で、だまし絵はその材料を使った作品です。 このサイトの図版は、だまし絵として飾るためではなく、どの材料がどう効いているかを一つずつ確かめるために作っています。
だまし絵の4つの種類
1. 隠し絵 — 模様の中に何かが隠れている
模様や景色の中に、動物や顔、文字が紛れ込んでいる絵です。 見つけるまでは見えないのに、一度見つけると、もう見えないふりができなくなります。
- 落ち葉の隠し絵 — 白黒の落ち葉模様に動物が 1 匹いる
- コファー錯視 — 長方形の格子の中に円が隠れている
- 遠ざけると文字が浮かぶ — 近くではノイズ、離れると文字
隠し絵が成り立つのは、脳が輪郭をつなげて形を探すからです。模様の線と隠した物の輪郭が同じ強さだと、どちらの輪郭かを決められず、隠した物が背景に溶けます。
2. 図地反転・多義図形 — 見方で別の物になる
一つの図に、二つの読み方が同時に入っている絵です。 どちらか一方しか見えず、見ているうちに突然入れ替わります。
たくさんの人が集まって一つの顔になっている、江戸時代の寄せ絵もこの仲間です。 近くで見ると人の集まり、離れると顔。部分と全体のどちらを「図」として読むかで、答えが変わります。 仕組みはひとつの図に2つの答えで詳しく扱っています。
3. 立体に見える絵 — 平面なのに奥行きがある
影や遠近の線を描き込むと、平らな紙や床が、へこんだり飛び出したりして見えます。 トリックアートの展示で多いのがこの種類です。
- 影と市松模様 — 影があると思うと、同じ色のマスが違う明るさに見える
- シェパード錯視(テーブル) — 同じ形の天板が、脚を付けるとまったく違う形に見える
展示の床絵の多くは、決まった一点から見たときだけ正しい形になるように、わざと引き延ばして描かれています。 別の場所から見ると、ゆがんだ絵に戻ります。 なぜ平面が立体に見えるのかは立体に見える錯視にまとめています。
4. ありえない図形 — 部分は正しいのに全体が成り立たない
どの角を見ても正しく描かれているのに、全体をたどると現実には作れない形です。 三本の角材がどれも直角につながっている三角形や、上り続けているのに元の場所に戻る階段が有名です。
脳は図を部分ごとに立体として読み、全体の矛盾はあとから気づきます。 このサイトではペンローズの三角形とペンローズの階段で試せます。
だまし絵を楽しむコツ
- まず答えを見ない。隠し絵は、見つけた瞬間がいちばん面白い
- 見つけたら、見えなくしてみる。一度見えた物を見えなくするのは、見つけるより難しい
- 距離と角度を変える。離れる、目を細める、画面を傾けるだけで見え方が変わる絵がある
- 人に見せて、最初に何が見えたかを聞く。多義図形は、人によって最初に見える方が違う
錯視そのものの種類となぜ起こるのかは、錯視とはにまとめています。



